「のんき連」のうちわに込めたもの

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03_2.jpgのんき連さんが僕たちに求めたのは、
新しい感覚の「うちわ」でした。
それ以上でもそれ以下でも無かったと思います。

でも、僕たちは、これを「チャンス」だと思い、
ある野望を掲げました。
阿波おどりの有名連、それも80周年を迎えた最古参の連の
ブランディングをできないだろうか、と。

僕たちは、とても興奮しました。
なぜ興奮するか、ピンと来ない方も多いと思います。
でもその理由は、簡単です。
阿波おどりとデザインは、ずーっとずーっと無縁だったからです。

03_3.gif興奮しつつ、いざ制作に取りかかると、
会の空気は重苦しいものになりました。
僕たちが抱えた命題は、例えるなら次のようなことです。
「地元にあり、江戸時代に創業した和菓子屋さんの
12代目のご主人が、『のれん』だけを新しくしたいと言っている。
創業当時の文化資産は、戦時中にすべて焼失。
ご主人は、伝統も新しさも表現したいと思っている。
さあ、どうするか?」

「伝統と革新」という対句は、言葉としては成立しても、
カタチにするのは非常に難しいものです。
ミニマル志向のモダンデザインが全盛の今ですが、
こういう作法を単純に阿波踊りに当てはめたら失敗するだろう、
とみんな感じていました。

メンバーで出し合った作品を、絞り込むのも一苦労でした。
最終的には、半分に絞って、伝統から革新のグラデーションを
8案で見せることにしました。

結果は、藤本氏が手掛けたものが選ばれました。
決定案はもちろん、僕たちが提出したプラン一つひとつに
とても感動してくれました。

僕たちは、このプレゼンを通じて、
400年の歴史を持つ阿波おどりの核心に、
またひとつ触れた気がします。
連員さんのうちわに対する絶大なこだわり、
ソフト資産の蓄積をどうおこなっていくべきか、
阿波おどりらしさとは一体何なのか・・・など。

いつか、「のんき連」さんの浴衣やはちまきや小物が、
僕たちが提案するデザインで染まる日が来ることを、
心待ちにしています。
今回のプレゼンは、その第一歩だったと信じています。

のんき連のみなさん、
僕たちに楽しい機会をつくっていただいて、
本当にありがとうございました。

新居篤志/文

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◎「扇げば、楽し、阿波おどり」扇ぐ阿呆の会 活動報告展
 日程:8月17日(水)-28日(日)
 場所:阿波おどり会館 2階